劇団回転磁石 -ゲキダンカイテンコンパス-



またまた遅れて登場、おくやまです

2010/4/11 


あるところに正直者の少年がいた。

優しい母親から愛情を一心に受け、純粋な心に育った少年だった。

少年は嘘と言うものを今まで一度もついたことがなかった。
いや、一度だけとても幼い頃に嘘をついた。
その時、母親が
『嘘は悪いことなのよ』
と悲しい顔で言ったのをずっと心の奥深くに留めているのだ。
それ以来彼は嘘を一度もついていない。

優しい母親はそんな正直者の少年を誇り、とても愛し、
その愛情は赤ん坊の頃から今まで一度も薄れることはなかった。

少年も親を愛していた。
親を悲しませることだけは絶対にしないように
正直に生きよう
少年はそう思っていた。

この親子はお互いにお互いを思いやっていた。


―――――――――――――――――――――――――


少年は親の悲しい顔を一度も見ることなくすくすくと成長していった。

ある年の誕生日、少年は夜更かしをした。
次の日に学校があることはわかっていたけれど
気分がうきうきして眠れなかったのだ。

朝、時計が鳴り目を覚ますと、母親はもう仕事に出ていた。

いつもならばこの後すぐに家を出るのだが、
少年は眠ってしまった。
このようなことは初めてだった。
次に目を覚ましたのは、母親が帰ってくるドアの音を聞いた時だった。

母親は聞いた
『今日、学校に行かなかったの』
正直者の少年はあやまろうと思った。

しかし、その時彼の頭に幼い頃見た親の悲しい顔が浮かんだ。

『行こうと思ったんだ』
彼は嘘をついた
『行こうと思ったんだけれど、玄関を開けたら知らない草原が広がっていたんだ』
とても信じられないような嘘だった
『なにもない、寂しいところで、それで、何とか学校にたどりつこうと思ったんだけれどどうしてもわからなくて、
そのまま家に帰ってきちゃったんだ』
嘘をついたことのない彼にとっての精一杯の嘘だった

『そうなの、大変だったわね』
優しい母親は微笑んで言った。そしてそれ以上何も追及することはなかった。

翌日、少年はいつも通り学校へ行った。
少年の中には不安が残っていた。
あの話が嘘だといつか母親がわかってしまうのではないかと

友達は少年にいつも通りに話しかけ、いつも通りに遊び、いつも通りに笑っていた
周りはみないつも通り、だが彼だけはいつも通りではない
彼はもう正直者の少年ではないのだ。

その日の夜、少年は母親にもう一つ嘘をついた。
『学校の角を曲がるとまたあの草原に出た』と

『でも今度は前とは違った、かわいいウサギがたくさんいたんだ』
『あととても大きな、僕の何十倍もある木があったよ』と

母親は微笑みながら
『そうなの』
と少し嬉しそうに言った

――――――――――――――――――――――――――


少年は毎日学校に行った
友人や先生は変わらず彼を正直で純粋な心を持った少年だと思っている。

そうじゃないことを知っているのは少年だけだった
自分は嘘つきの、悪い人間だ。

彼は悩んでいた
一度ならず二度も向こうに行ったと言ってしまった以上、三度目がないと
嘘だということがわかってしまうかもしれない。
どうしよう…

『今日もまた行ってきたよ』
彼はさらに嘘をついた
『少し行ったところには海があったよ、白い砂浜の、きらきら光る青い海だった』
『ウサギ以外にも、鳥や虫なんかもいたんだよ』
『今度はもっといろいろな場所を探検しようと思うんだ』

母親はまた微笑んで言った
『そうなの、またお話聞かせてね』
いままで通り、優しい母だった。

彼は後悔した。
どうしてあんな嘘をついてしまったんだろう
でももう本当のことは言えない。
母親の悲しい顔だけはみたくない
僕が悪い子だということがばれてしまう。

嘘が嘘を呼び、話はどんどん飛躍していった
『今日は恐竜を見たんだ』


少年はどつぼにはまっていた


――――――――――――――――――――――――――



その世界が誕生したきっかけは、些細な一言からだった。

そこは地球にとても似ている世界だった。

ただ一つ違う所は、世界の成長速度だった


その世界ができた時、世界はただ永遠に広がる草原だった
やがて世界には大きな木が生まれた。
この世界で一番最初に誕生した生き物はウサギだった。
広くて綺麗な海ができた。
蝶が舞い、さまざまな鳥が大木に巣を作るようになった。

やがていろいろな生物が誕生した。
ライオン、馬、キリン、ヘビ、トラ、犬、ゾウ、サイ、熊、ネコ、リス、コアラ
ねずみ、牛、ヒツジ…
海の中には古代の生き物たちが住むようになった
恐竜が突然現れて、その生き物たちが絶滅したこともあった。

朝が来た、陽が照って、昼になり、雨が降り、陽が暮れ、風が吹き、夜になり、雪が積もって、星がまたたいた。

この世界には宇宙も存在した
日食も月食も、彗星の接近も起こった



やがて人が生まれた
この世界で最初に誕生した人間は、遊び好きで活発な少年だった


その世界に人間はしばらく少年一人だった


大人が生まれた
優しいお兄さんとお姉さん
少し怖いおじさん
どこかしら母親に似ているおばさん
親切な老夫婦

いろいろなものが生まれ、世界はいよいよにぎやかになってきた



この頃から
少しずつ世界が変わり始めた。

まず、大木の近くに家ができた
人間達が、いつまでも大木の下で眠るのを嫌がったのだ
その家は、村になり、町になった。
やがて、赤ちゃんが生まれた
優しいお兄さんとお姉さんの子だった

今まで世界では突発的にしか物事は起こらなかった
大人は大人、子供は子供のままで突然現れるものだった
現に、赤ちゃんが生まれるまでの間にも町の人はどんどん増えていった。

この世界で、はじめての赤ちゃんだった。


世界はどんどん大きくなっていった。


初めての畑ができた、人々は豊かになった。
初めての船ができた、海の向こうにも陸地があり、人が住んでいた。
初めての市場ができ、初めての橋ができた、人々は更に豊かになった。
初めての工場が、初めての車が、初めての電車ができた。
人々の生活は便利になった。
初めての飛行機ができた、海の向こうの更に向こうにも人がいた。
初めての国ができた。
人々は増えていった。
初めてのビルができ、その次のビルができ、その次のビルができた、
町はビルだらけになった。
初めてのネオンができ、町は華やかになった。
その日、初めての犯罪がおきた。
初めての戦争があった。
人々は増えては減り、また増えていった。



世界は地球と同じになった。



世界には大悪人がいた。
盗み、殺人、悪いことは何でもやった。
大悪人にはポリシーがあった。
盗みをするのは悪いことをして金をもうけている金持ちから
殺すのも悪いことをしている議員やヤクザ者だけだった
しかし彼は世界では大悪人と呼ばれていた。


世界で初めて生まれた赤ちゃんは綺麗な女性になっていた。
あれ以来世界では子供が生まれるようになっていたが、
それまでには世界になかった病気を持つ子供も誕生するようになっていた。

そんな彼女の子供も、また病気だった

彼女は裕福ではなかった
病気を治してやる余裕などとうていなく
彼女にできることは、せめて子供には精一杯の愛情を込めて育てることと
毎日家の庭にある大木に祈ることだった。


ある日、大悪人が彼女の話を耳にした
大悪人は自分は母のことを思い出し涙した


その世界のある国には悪い政治家と悪い商人がいた
二人は自分と自分の財産のことしか考えていなかった
その日は月が綺麗な夜だった
二人は屋敷の中の小さな部屋にいた
今まさに、ほかの国へのミサイルを発射しようとしているところだった


その世界の大きな国は宇宙に行こうとしていた
あと数分後には世界で始めてのロケットが月に向かってとびたつのだ

ミサイルの発射ボタンを押そうとした瞬間、警報がなった
誰かが侵入したのだ
悪い政治家は人を呼んだ
たくさんの人が来た
侵入者はすぐに見つかった
矢のように銃弾が浴びせられた
侵入者は大悪人だった

この世界で最初の赤ちゃんだった女性はいつものように大木の下まで来た
大木の下にたくさんのお札と手紙が置いてあった

女性はただ大木を見上げた



ロケットは無事に打ち上げに成功した
そして今まさに月面に宇宙飛行士が降り立とうと―――


大悪人はビル街の路地裏にいた
彼はその場で動かなかった
色とりどりのネオンがあたりを照らし―――


悪い政治家は小さな部屋にもどってきた
発射ボタンが今押されようとして―――


女性は大木を見上げていた
遠くに見えるビル街
大木の先にあるのは、まるく、黄色い月



女性の目には――――



――――――――――――――――――――――――――



少年はもう正直者の少年ではなく、嘘つきの少年だった。

嘘つきの少年はあれ以来母親にたくさんの嘘をつき続けたが、
母親はいつもの優しい微笑を浮かべて、彼の話を聞き続けてくれた。

少年は苦しかった。

今日は少年の誕生日だった、母親が大きなケーキと豪華な食事を作ってくれ
『お誕生日おめでとう』
と言ってくれた。

その時、少年は母親にいきなり抱きついた
そしてこう言った

『ごめんなさい、今までの話は全部嘘だったんだ』

少年は
これから母親の悲しい顔を見なくてはいけないのだ、と覚悟した
すると急に胸が詰まってとても悲しい気持ちになった

少年は泣き出した


母親は、そんな少年を見て、またいつものように微笑むと

『いい子ね』

と、一言だけ言い、少年を抱きしめた。



嘘つきの少年は、また正直者の少年になった



その日、少年は母親と夜遅くまでお話をした、嘘の話ではなく、本当の話を。



――――――――――――――――――――――――――



その世界が消滅したきっかけは、些細な一言からだった

その世界は地球にとても似ている世界だった

消滅する瞬間、その世界の人々は月に降り立とうとしていた
消滅する瞬間、その世界では大戦争が起きようとしていた
消滅する瞬間、死に絶える人がいた
消滅する瞬間、生きている人がいた

その世界には大木があった、その世界には海があった、
その世界には動物がいた、その世界には人間がいた、
その世界には畑があり、家があった。
その世界には船が市場が橋が工場が車が飛行機が国がビルがネオンが犯罪が戦争があった。


その世界には悪人もたくさんいた。




その世界には人間がたくさんいた。





その世界は








――――――――――――――――――――――――――

げろげろ!!!!

嘘つきおくやまです!!!!!!!

更新するする言って一ヶ月も更新しなかったぜ

今回も小説シリーズです!!!!!!


今まで名詞、というか物体についてがテーマだったのに

何で概念についてなんだ

見方によって違うし

まあ書いたからいいとして

今日はタカハシの脚本締切日なんです。

あれ?

前回もたしか……

まあ、いいや

てなわけで次回のお題!!!!

タカハシへのバトンタッチです!!!!!!

『三脚』

むずいかな?
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